大釜（おおかま）温泉

伊東十三男（いとうとみお）さんの宿｜秋田県仙北市･乳頭温泉郷

秋田･岩手･青森の3県にまたがる十和田八幡平国立公園にある乳頭温泉郷は、高山植物群落で有名な秋田駒ヶ岳のふもとにあります。7軒の温泉宿の中で、私が好きなのは温泉郷の真ん中辺にある、廃校になった小学校の木造校舎の廃材を再利用して建てた湯宿「大釜温泉」です。

建物のあちこちに小学校の面影が残っています。食堂には「職員室」の表札、大広間には大玉の「そろばん」がオブジェ風に飾ってあり、懐かしい雰囲気です。大きな内湯から続くブナの原生林に囲まれた露天風呂は、豊富な湯量と白濁した湯が魅力で、熱めとぬるめの2つの浴槽。玄関脇には温泉郷唯一の足湯もあります。

宿は、83歳の優しいご主人と79歳の笑顔が素敵な女将さんご夫婦、それと婿殿で切り盛りされています。気さくなご夫婦で、居間に上がり込んでお酒の相手をしてもらったこともあります。女将さんに漬け方を教わった「糸カボチャ」の漬物は、今では我が家の食卓になくてはならない一品になっています。
（佐藤晃子）

◆トップの画像は・・・「まるで学校そのものの外観が郷愁を誘う大釜温泉」