黒湯温泉

池田泰久（いけだやすひさ）さんの宿｜秋田県仙北市･乳頭温泉郷

印象的なのは紅葉に包まれた茅葺屋根の宿の姿である。黒湯温泉の周辺はブナの自然林であり、紅葉というより黄葉。木によって色づく時期が違うのか、黄色にも濃淡があり、まれに混じるカエデの赤が際立っていた。

源泉が自然湧出する一帯に建つ黒湯温泉は、露天風呂からその眺めを間近にすることとなる。浴室は男女別の内湯と露天、打たせ湯などあるのだが、混浴の露天風呂が風景に溶け込むようで雰囲気がいい。湯は単純硫黄温泉で白濁し、女性もそれほど気にせず入れるだろう。

宿泊は旅館部と自炊部がある。旅館部では近年に半露天風呂付きの部屋を作り、外国人に人気という。湯治用自炊部があるのはありがたい。宿の立地から温泉の効果のほか、転地療養という湯治効果が期待できるからだ。

もう一つのおすすめが宿で飲める豆乳。秋田のJAで生産する大豆の「すずさやか」で作り、豆乳の名も「すずさやか」。青臭さのない品種であり、風呂上がりにぜひお試しを。
（土井正和）

◆トップの画像は・・・「ランプが雰囲気を高める混浴露天風呂」