旅館 洋々閣

大河内明彦さんの宿｜佐賀県唐津市

とある旅行誌の“素晴らしい器でもてなす宿”なる企画の取材で初めて伺ったのは、今世紀に入ったあたりのこと。明治・大正の面影を残す宿には凛とした空気が漂うが、温かなもてなしにすっと緊張感が解れたことが記憶に残り、後年にプライベートでもお世話になった。

お目当ての夕食は、玄界灘の旬の魚介を中心に素材の良さを活かした料理が部屋出しで。盛り付けられる器は、この宿を愛してきた地元唐津の名陶芸家・中里隆氏とその息子の太亀氏の作品が中心で、目の保養をしながら口福の時間を過ごせる。もっと器が見たいなら、館内にある「隆太窯ギャラリー」へ。こちらには隆氏と太亀氏、娘の花子氏と孫の健太氏の作品も展示されていて、購入も可能だ。

樹齢200年の松が存在感を放つ日本庭園を眺めて過ごすのも良いが、近くの名所を訪ねるのもおすすめ。唐津城や虹の松原は、ほど近く。もう少し車を走らせれば朝市と“呼子のイカ”で知られる呼子港と、唐津観光の拠点にもぴったりの宿なのだ。　　

（とがみ淳志）

◆トップの画像は・・・目にも美味しい料理には、佐賀の銘酒を合わせたい