中元千恵子

驚いたのは、ガイドさんの「このあたりの主な岩石は、約6000万年前にマグマが固まってできた花崗岩が地殻変動などで地表に現れたものです」という説明だった。

もともと日本は大陸の一部だったが、約2500年前、日本列島が大陸から引き裂かれはじめ、間にできたくぼみが日本海になったのだという。その日本海形成をもたらした大きな地殻変動の名残(証拠!?)が目の前に見られるなんて……。遥か昔の地球の営みを目の前にして、壮大な時の流れに圧倒される思いだった。

海食崖、海食洞、波食棚など、浦富海岸は海食地形の宝庫なのだという。イベントのあと、島めぐり遊覧船に乗ると、その地形を海から広範囲に眺められた。マグマが岩石になるときにできた節理とよばれる割れ目が、規則正しい美しい縞模様を造り出していた。

日本海の恵みといえば海産物も忘れてはならない。岩美町は市町村単位では松葉ガニの漁獲量が日本一。そのほか、春が旬のモサエビ、夏には岩ガキ…と魚介の宝庫で知られる。これも大陸のヘリが割れてできた独特の地形を持つ日本海の恵みなのだという。

イベントの前日に泊まった町内の民宿「さんげんや」の夕食は海の幸が満載だった。もちろん、内容は日によって異なるというが、この日は甘エビやイカ、アゴのお造り、シャキシャキのもずく、焼いたアカハタ、ジンタン(ハタハタ)の寿司、そして圧巻はモサエビの陶板焼き。鮮度が落ちやすくあまり出回らないため、“幻のエビ”と言われるモサエビは、焼いても身がとろりとして濃厚な甘みがある。ほかのエビでは味わったことのない味と食感だった。この宿は80歳を超えた三浦さん夫妻が経営され、料理はすべて82歳の奥さん、百合枝さんの手作りと聞いてさらに感動した。

イベント後、「旅の日」川柳の窓口を務めてくださった岩美町商工観光課の岸本智也主任と岩美町観光協会の廣田洋二さんが町内を案内してくださった。とにかく海の景色がきれい。魚介がおいしい。町内に岩井温泉という歴史ある温泉もあり、旅の魅力にあふれる町だった。

※ジオパーク、山陰海岸ジオパークについて詳しくお知りになりたい方は下記URLをご参照ください。
http://sanin-geo.jp/

岸本主任(右)と廣田さん

さんげんやの夕食と三浦百合枝さん

遊覧船から望む柱状節理


中元千恵子