安齋二三夫
 

翌日(5月2日)の予定だった砂漠のラクダ乗りを急遽今日に変更するという。砂嵐が近づいていて明日はできなくなりそうなのだと。そこでホータン市街から20分ほど北上した砂漠へ。砂丘が幾重にも連なったいかにも砂漠らしい風景。

沙漠をらくだで

さてこのラクダ乗りが大変だった。沙漠をらくだでいきなり後足から立ち上がるは、歩き出せば揺れるは。こんなものに乗って何日も旅をするなんて、とても考えられない。キャラバンなんて半端な苦労じゃないんだろうね。明日朝股が痛くならなければ良いが。

バザール@ホータン

翌5月2日はホータンの市内観光とニヤへの移動。 9時45分ホテル出発。まずはホータン名産の玉(ぎょく)の工場へ。玉は安いものでも3万円近くする。前の日ラクダ乗りの砂漠へ行く途中で見た河原では大勢の人が出て玉を探していた。続いてバザール。
バザール@ホータン野菜、果物、肉から建築資材までさまざまな物を売っている。道ばたで牛をさばいていた。

ところでイスラムの女性は顔を隠しているが、隠し方には何種類かあるようだ。まず全員がスカーフをしている。スカーフがなければ、非イスラムの女性と見ていいのだろう。スカーフを頭からかぶっただけで顔を見せている人、スカーフで口元を隠して目と鼻は見せている人、目だけ出している人、そして頭からスッポリと頭巾のような物をかぶって、外からはまったく顔が見えない人。普通に歩いているから内側からは見えているのだろう。

5月3日、砂漠公路の入り口

砂漠公路の入り口

いよいよタクラマカン砂漠縦断だ。8時にホテルを出発。天山南路のニヤから天山北路のクチャまで砂漠公路を走る12時間の旅だ。砂漠公路はニヤからルンタイ(論台)まで523km、ルンタイからクチャが150km。そのうち466kmは砂漠の中を走る。

井戸小屋

道路脇には5kmおきに赤い井戸小屋屋根と水色の壁の小屋があり、150m以上の地下から水を汲み上げている。道路脇の植栽にチューブを這わせて水をやるためである。こうして植栽しておかないと、道路はすぐに砂に埋もれてしまうのである。砂漠の中に植栽に囲まれた道路が続く。このような莫大な投資をするのも石油あってのことである。小屋には管理人が住み込んでいる。見学した小屋には若い夫婦がいた。四川省から来て1年の契約でここに住込み中国石油の職員として働いているという。

11時50分、ラグ麺、麺と具が別々にでた砂漠の中の小さな街、対中に着く。昼食。今日のラグ麺は具と麺が別々に出て来た。具を麺にぶっかけて食べる。麺は讃岐うどん風でなかなか腰がある。具は羊肉とピーマンなどの野菜。

食後1時間ほど走ってから車を停めた。砂漠を30分ほど散策するという。どこまでも続く砂丘の連なり。人声も砂に吸い込まれてなんとも言えない静けさである。気温は35度あるというが、とてもそんなには感じられない。風があって爽やかである。

取材/2011年4~5月

安齋二三夫