安齋二三夫
 

タクラマカン砂漠はサハラ砂漠に次いで、世界で二番目に大きな砂漠である。場所は中央アジア、中国の新疆ウィグル自治区。北辺はシルクロードの天山北路が走り、その北には天山山脈がそびえる。南辺は天山南路で崑崙山脈がチベットと境を接する。かつて「死の砂漠」として恐れられたタクラマカンも、現在では砂漠中央部に油田(タリム油田)が発見されたおかげで、天山南路のニヤから北路のルンタイ(論台)まで523kmの砂漠公路が走る。  

2011年のゴールデンウィーク、4月28日から5月7日まで、このタクラマカン砂漠縦断のツアーに参加した。4月28日13時50分羽田発の中国国際航空CA182便で北京経由ウルムチへ。北京で3時間の待合せでウルムチ着は夜中、0時40分。新疆ウィグル自治区の首都だけに近代的な大都会だが、翌日は7時出発というのでこの日は寝るだけ。

翌29日、ウルムチ~カシュガルは中国南方航空CZ6803便、8時50分発。10時半、カシュガル着。カシュガルの街は黄砂に煙っていた。これが日本まで飛んでくるのか、と思うと不思議な気がする。(翌々日のアサヒコムに九州に黄砂が飛来したという記事が載っていた)   

この日の昼食は民家で。こちらのハレの日のご馳走なのだろう。床の絨毯の上にいろいろと食べ物が並んでいる。まず一人に一椀ずつヨーグルト、直径30cmほどの丸いナンが中央に積まれている。バナナ、りんご、ミカンなどの果物。羊肉のダシが効いたにゅうめんのような麺。香菜が効いて美味い。最後にカシュガルのチャーハン、ポロ。羊肉にレーズン、アンズなどが載っている。

表に出ると黄砂で見通しはますます悪くなっている。バザールを見物して出てくると5時だというのに真っ暗だ。夕食は新彊の名物料理羊の丸焼きだ。カシュガルには2泊して、いよいよシルクロード天山南路の旅の始まり。最初の宿泊地はホータン(和田)。11時間の長旅だ。

今回の一行は総勢24名。添乗員2名を除くと男女半々。ご夫婦はふた組であとは単独参加。最長老76歳、最年少25歳。定年後1~3年の人が多いが、若い人が3人いて平均年齢は60を少し切るという。カシュガルから65km、インギシャ(英吉沙)は手作りナイフの産地。5cmほどの小さなのを購入。35元、450円。ホータンまで220km地点でトイレストップ。ひたすら何もない荒野に道路と鉄道が通じている。暑い。

カシュガル空港

インギシャのナイフ屋

羊の丸焼き

取材/2011年4~5月

安齋二三夫