福田 徳郎

2011年に執筆した記事です

「人間の言葉を発せず魑魅魍魎になれば拝観は可能」

「かの司馬遼太郎さんも大満足だった比叡山の秘儀」

4年に一度、比叡山の山中奥深くで開催される秘儀「法華大会広学竪義」は、関係者以外と俗人の拝観を一切拒否している。

今年は10月1日から6日まで、比叡山の大講堂で昼夜ぶっ通しの開催である。中身は新米の僧侶が、ムツカシイ試験「広学竪義」の問答(論議)で、5名の高僧から次々に出される問いを平安時代の古い節回しで、謹んで答えるという古い儀式である。一名の僧に約50分の問答の時間がかかる。
 
落第者には「青竹の杖一本」が与えられ「これをついて山をお下がりなさい」という,厳しい論議である。この4年に一度の開催はある程度修行をした僧侶と、その関係者のみに開かれた門だが、32年前の昭和54年に作家の司馬遼太郎さんが初めて拝観し「街道をゆく」「叡山の諸道16」で中身を紹介した。
この行事は「門外不出」「俗人の他見を許さなかった」が、司馬さんの著書以降、徐々にだが「関係者以外は他見禁止だが、人間ではなく山中のもののけになれば、ことさらに追い出さない」という暗黙の了承が出来上がった。

 だから「人間の言葉を発せず山中のもののけ(魑魅魍魎)になって」拝観されてはいかがでしょう。
入山料600円のほかに少々の志納金(1000円くらい)が必要です。

福田 徳郎