安齋二三夫
 

5月4日。9時出発でクチャ近郊の観光。キジル千仏洞は後漢から宋にかけての仏教遺跡。洞内の壁画はイスラムの侵攻で破壊されている。洞に登る入り口には鳩摩羅什(クマラジュー)の銅像。鳩摩羅什は「法華経」「阿弥陀経」などをサンスクリット語から漢訳した中国南北朝時代の僧で、玄奘とともに二大訳聖と言われる。

鳩磨羅什の像

スバシ故城は唐代、この地域最大の寺院だったという仏教遺跡。やはりイスラムによって滅ぼされた。 クチャに戻り南彊鉄道の旅が始まる。 カシュガル発ウルムチ行きの列車にクチャからトルファンまで乗車する。19時14分発予定の列車は8分遅れの22分に発車。翌日の11時02分トルファン到着予定。4人定員の軟臥車。

南彊鉄道の食堂車

南疆鉄道に乗車する際、空港並の手荷物検査がある。クチャ駅で乗車する際、インギシャの刃物屋で買った小型ナイフを土産に持っていた人が多かったのだが、これが通らないという。飛行機ならトランクは荷物室に隔離されるが、列車の場合は車内に持ち込むのでこれも止むを得ないか。さて土産は没収か、となったが、ガイドさんの提案で皆のナイフを集め、ここからカシュガルへ戻るバスの運転手さんに託し、日本に送ってもらうことに。しかしナイフはまだ届かない。

トルファンのぶどう農家で食事

5月5日、トルファンには20分の早着。大慌てで荷物を車外へ運び出す。トルファンの駅は市街から50kmほど離れている。昼食はぶどう栽培農家のぶどう棚の下で。いく種類もの干しぶどうが出る。毎度お馴染みラグ麺とポロの昼食。

食後は砂漠の灌漑用に掘られた井戸、ガレーズの見学。さらに交河故城、火焔山、ベゼクリク千仏洞、高昌故城と見学する。高昌故城の標高はマイナス56m。トルファンで一番低いところはマイナス141mで死海についで標高が低いという。

交河故城模型

5月6日は実質的にツアー最終日。ウルムチの博物館で楼蘭の美女のミイラを見て昼過ぎの便で北京へ移動する。ウルムチ市内の紅山公園で時間調整し10時に博物館へ。ところがお目当ての楼蘭の美女は三日前から重慶に出展中で見られず。残念。 飛行機で北京へ。北京はストップオーバーは何度かあるものの、街へ出たのは恥ずかしながら初めて。同仁堂という漢方薬屋へ連れていかれ、そのあとワンフーチン(王府井)を散策。

夕食は北京ダック。その席で、同行の方もう一人と誕生日を祝ってもらう。前日が満63歳の誕生日だったのだ。

5月7日、10日間の中国旅行も最終日。北京空港8時30分発のCAに乗る。羽田着12時50分の予定。空港のゲート前でビール。飛行機は定時に羽田到着。

取材/2011年4~5月

安齋二三夫