南伊豆の弓ヶ浜海岸近くにある食事処。“伊豆におか田あり”と知られる名店である。
店名からも分かる通り、伊豆の海の幸をふんだんに取り入れた創作料理を出してくれる。
名物は「わだつみ定食」。地元の魚介と海藻、野菜、特製すいとんを自家製合わせ味噌で煮る豪快な海の鍋料理だ。
もう一つが、「金目鯛の煮付け」。伊豆下田は日本一の金目鯛水揚げ量を誇り、その煮付けを出す宿や店は多いが、同店のそれは、漁師の船中食「漁場煮」という独特の味付けで旨味を引き出している。
身も厚くて立派な金目鯛！
──なんて書きながら、実は筆者は店に足を運んだ事がない。旅ペンの会員からもしょっちゅう名前が出てくるので“行かなきゃ！”と思いつつ、気付けばこのコロナ禍である。“こりゃしばらくおあずけだな”と落胆していたら、自称おとぼけ会員のＩさんから「おか田さん、お取り寄せ始めたってさ」との情報。
早速、若旦那こと岡田正司さんに電話を入れてみると、確かに今年の始めから南伊豆町のふるさと納税の返礼品として扱いを始めたそう。ただし一般向けにはまだ公にしておらず、常連のみに販売しているとのこと。常連ではないが、ナントカ無理を通して、送ってもらうことにした。
で、後日届いたのが、ご覧のセット。これで2,200円（税込み・送料別）とは信じられない。実は鯛の潮汁、田楽味噌はおまけだ。
「金目鯛を頼んで、こういうのが付いて来たら嬉しいでしょ？ お客さんに喜んでもらうのが一番だから」
主役の金目鯛の煮付けも立派である。頭半分とカマ、身2つが崩れないよう、個別に真空パックされている。それらを冷凍のまま鍋などで8〜10分湯煎すれば、店の味が楽しめるという寸法だ。
その通りに湯煎して、器にあけてみると、分厚い身がゴロリ。聞けば、「2kg以上の大・特大サイズだけを使っています。小さいと脂の乗りが悪いから」だそうだ。
頭もカマも、味がしっかり染みて旨そうだ。特に目玉のまわりのゼラチン質。このトロトロしたやつを、はやくチューチューしたい！
で、実際に食べてみると、身はふっくらとし、味も煮詰まっていない。実は湯煎することを前提に、店で出すよりも早いタイミングで鍋から上げ、味付けも若干薄くしているそうだ。
お取り寄せだからといって素材も味も妥協しない。名店と言われる所以である。
さて、おまけ2品も湯煎し、食卓に並べたら、何とも豪勢な宴となった。これなら伊豆に行かなくても……なんてとんでもない、ますます行きたくなった！ コロナが収束し、大手で振って「来ましたよ！」と言える日が早く来ることを祈る！
◆伊豆の味 おか田
TEL 0558-62-1006
FAX 0558-62-2411
伊豆の味 おか田公式HP
注文はHPよりメールかFAXで。おまけはその時々で変わります。
立派な宴！（日本酒は含まれていません）
（文・写真 いからしひろき）
