晩秋の木曽路を走る明知鉄道乗り鉄の旅|大川哲次

1.(2020年の晩秋の旅は、木曽路から北信濃路へ)

2020年11月の晩秋は、三連休を利用して11月21日から25日まで久しぶりの木曽路と最近よく訪れている北信濃路へ旅した。今回の旅は、コロナ禍で2020年3月から旅を控えていた妻と久しぶりの二人旅だ。行程は、先ず木曽路の恵那から明智まで明知鉄道で往復した後に妻籠宿(つまごじゅく)を散策し、その後北信濃路まで移動して、3つの温泉を巡る旅だ。今回はその中で主に明知鉄道とその沿線の旅を紹介する。

2.(先ず奈良市から明知鉄道) この段落改行したいけど手を入れるのは我慢します。

初日の21日は、早朝に奈良市の自宅を出発して、西大寺~京都~名古屋と乗り継いで、JR中央本線恵那駅に到達。「明知鉄道やりすぎ!フリー切符」(料金は同鉄道一日乗り放題のお得な690円)を購入して、明知鉄道恵那駅9時15分発の普通電車に乗り、終着駅の明智駅を目指す。初めて乗り鉄を体験するローカル線だ。「明知鉄道」は11の駅を結び、沿線の田園風景とゆるやかに流れる時間を楽しめる魅力ある小さな鉄道だ。始発の恵那駅のすぐ近くには江戸時代中山道の46番目の宿場町「大井宿」が存在。終着駅までの途中には、日本一の急勾配駅の「飯沼駅」、近くに農村景観日本一展望台や女城主の里(岩村城跡)のある岩村駅、駅前に温泉のある花白温泉駅、のどかなウォーキングの起点となる山岡駅など魅力ある見所が多い。明智駅到着後は、恵那駅まで戻る電車までの空き時間を利用し、駅から徒歩5分少しの「大正村浪漫亭」へ向かう。大正のころのレトロモダンをコンセプトにデザインされたよく目立つ建物。1階がショップとカフェで、2階がレストラン。1階のカフェに入り、連日売り切れるほどの人気の「なめらかプリン」を注文。名の通りなめらか味の美味しいプリンだ。ショップには地元産の土産の他、明智光秀公に関連する土産も。光秀公の生誕地は岐阜県可児市の他に、ここ恵那市明智町も候補地として知られる。明智町には「光秀公産湯の井戸」、「光秀公学問所」など光秀ゆかりの場所もいくつか存在。明智町には、それら以外にも大正ロマンの雰囲気を体験できる「大正ロマン館」、昔懐かしい面影を残す「うかれ横丁」など行ってみたいスポットが多い。駅に戻り、恵那駅行き「急行大正ロマン2号」に乗車。先頭車のみ一般車両で、連結された後部3両は「きのこ列車」と名乗る食堂車。料金は、地元産のきのこをメインとした弁当とお土産付きで通常5500円。大正ロマン2号は明智駅を出発し、私たちは15分間乗車した後「花白温泉駅」で下車。明知鉄道沿線で唯一の温泉施設「花白温泉」で日帰り入浴するためだ。

3.(初めて訪れ入浴した「花白温泉」)

初めて訪れる一軒宿「花白温泉」は、同温泉駅のすぐ前にあった。その温泉名は私の初めて聞く名であったが、地元では江戸時代から薬湯として知られていたらしい。肌荒れ、疲労回復などに効能。浴場は、男女別のシンプルで小ぶりな内風呂のみ。先客は2人だけ。食事もオーダー可能。入浴後に花白温泉駅からは普通電車に乗る。駅の周りは木々に囲まれた静かな環境。線路わきの晩秋のススキが太陽の光線を受けてまぶしい。恵那駅に到着後、駅のすぐ横にある「恵那市観光物産えなてらす」で自分好みの栗菓子を10個ほど選んで購入。お菓子にもバイキング方式を取り入れたアイデアのある商法だ。これならばお客は確かにたくさんの数のお菓子を無意識に買ってしまうであろう。

4.(恵那駅から中山道のシンボル的宿場町「妻籠宿(つまごじゅく)」へ)

明知鉄道に乗った後は、中山道の宿場町妻籠宿へ向かう。町並み保存のシンボル的な「妻籠宿」は、全国で初めて古い町並みを保存した宿場町だ。出梁造りに堅繁格子、卯建(うだつ)のある軒が続く道筋は、まるで江戸時代にタイムスリップしたようであった。

(大川哲次)

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晩秋の花白温泉駅近くを走る明知鉄道「急行大正ロマン号」