太平洋と東シナ海が交わる石垣島最北端の平久保崎。白亜の灯台から眼下に広がるのは平野海岸だが、近年とくにこの美しい砂浜にもおびただしい量の漂着ゴミが流れ着いている。
そこで今年も環境保全に取り組んでいるボランテア団体「海Loveネットワーク」(中川久美子代表・画家)の呼びかけで、3月7日ビーチクリーンを行い、参加者約200人で1時間かけて45リットル袋およそ500袋のゴミを集めた。
当日は雨も上がり天空に虹のかかった平野海岸、午前9時30分から兵庫県から駆け付けたスポーツインストラクター岡本正一さんの司会進行で、コロナ対策をした老若男女が一斉にビーチに分散した。周辺諸国から漂着したペットボトルや発泡スチロール、漁具、ブイ、そして砂浜の繁みからは不法投棄された電化製品などを回収、毎度のことながら与那国馬もゴミ運搬に精出した。
分別作業は、この道10数年のキャリアを積む女性スタッフの指示のもと細かく分別していく。次に大事なのが回収ゴミの集計、その量の多さに改めて圧倒される。甦った美しいビーチを背景に達成感あふれる笑顔の記念撮影。そして元気が出たところでもうひと仕事、横一列に並びリズミカルな“バケツリレー”でゴミ袋は1ヵ所に集められ、手際よいビーチクリーンは午後2時終了した。
ところでこの女性を中心とした民間ボランティア団体「海Loveネットワーク」、石垣島の海が大好きな仲間が集まり、“自分たちでできることからはじめよう”と立ち上げたのが2009年。毎月の定例海岸清掃のほか、年に1回大規模なビーチクリーンを手掛け今回で13回目。海上保安庁長官表彰をうけた2018年の秋には、日本のゴミが流れ着くというハワイ・オアフ島まで海ラブメンバー7名で遠征し、膨大な漂着ゴミの中から日本製品を確認、地元環境団体とのコラボビーチクリーンを実現させた。まさに国籍を超えた世界をグルグル巡る“地球ゴミ”の回収である。
奇しくも2月28日に放送された「NHKスペシャル・2030未来への分岐点」はこの平野海岸の未来にも触れ、世界に溢れるプラスチックゴミ、今や海の生態系にも深刻な影響を及ぼし、“大量消費型社会はもう限界”と報じている。
ライフスタイルの変革が求められる今日、清掃活動ひとつにしても、“出来ることからはじめよう”とまず「参加」、その体験から環境保全の大事さを肌で感じ「意識改革」へと繋がる…共感の輪はビーチクリーンに、道路清掃活動に八重山各地にも広がっている。サガリバナの森に美しい砂浜…石垣島の“宝”を未来の子ども達にぜひ繋げたいものである。
(大塚勝久/写真家・美ら島沖縄大使)
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美しい砂浜に戻してハイ、パチリ!(撮影/船越浩康)