【会員の新刊紹介】 飯出敏夫(いいで・としお)著『達人の秘湯宿』

飯出敏夫(いいで・としお)著『達人の秘湯宿』

◇飯出敏夫(いいで・としお)著『達人の秘湯宿』
(交通新聞社☎03-5216-3217/648円税別)

旅ペン理事で温泉紀行ライターのベテランが全国くまなく歩いた秘湯紹介の総結集だ。
年間100日以上も温泉取材に出掛けるという筆者が選ぶベスト64軒の宿を写真と文で綴る。
飯出流の秘湯とは、泉質、湯量、湯船の良さが第一のポイントで、恵まれた自然環境の中に古き良き温泉場の雰囲気を残していることが条件。
紹介は比較的利用しやすい料金の宿に絞り、1泊2食1万2千円までを目安とする。
歴史は浅くとも好ロケーションにある温泉を含む一方、「できれば、携帯電話の電波が圏外であること」といった、訪れる人びとの「気分」も付け加える。

本書は月刊『旅の手帖』に2008年7月号から12年4月号まで44回連載した「いい夜を過ごす 秘湯宿」と10年2月号の特集「飯出敏夫の“ぞっこん秘湯”ベスト30」を合わせ加筆・再構成した。
宿ごとに「湯(泉質・湯量)」「風呂(露天風呂や内湯の造り)」「ロケーション」「料理」の4要素で採点し、その評価を各ページにインデックス表示し、本書をパラパラとめくれば、お湯自慢や料理自慢の宿を簡単に探せる装丁になっている。
湯を守る人の「こだわりと愛情」がうかがえる宿も秘湯選びの条件に挙げ各宿の主人、女将のポートレートを載せており、宿それぞれの「人柄」が好印象で読者に伝わりそうだ。                         (文・林 莊祐)

=「旅びと」2012年12月・13年新年合併号掲載

飯出敏夫(いいで・としお)著『達人の秘湯宿』