これまでが これからを 決める|片岡一郎(里山管理人)

北インドラダックのレーからヒマラヤ山系の谷間を縫いながら2日かけてザンスカールに向かった。チッベット仏教チューチグザル尼僧院を尋ねて、隣の小宅の小庭でお茶をご馳走になった。庭には直径2メートルくらいのパラボナアンテナ風の内側に鏡を張り、中空に鉄棒が突き出ている。そこの台にアルミのヤカンが置かれてお湯を沸かしていたのだ。なるほど、周辺には燃料にする樹木が乏しく、太陽に限りなく近い高地で、空気は綺麗だ。紫外線が強く、乾燥しているために人々は紅茶をよく飲む。日焼けした尼僧の話はチャーミングで白い歯が目の前の霊峰の白に重なった。お名前はノンゾムさんだったかな。

新疆ウイグルにあるシルクロード オアシスの街トルファンは標高マイナス154メートルにあり、夏は摂氏50度まで上がりブドウ作りが盛んで干し葡萄は各国に輸出している。農園で1級品から4、5級品を食べ比べれば、なるほどと納得する一大産地だ。

トルファンから首府ウルムチに向かう高速道路の左右は大きく畝った砂漠のような高地である。走行していると突然風力発電の大きな翼がずらりと出現、ゆるやかな左斜面の遥か向こうまで続き、車が10分、いや20分走ってもこの巨大なプロペラ群が不毛の地に人工の樹木のような新世界であった。

シベリア大陸の北風は広大なジュンガル盆地から7千メートル級のポペーダ山を持つ天山山脈の大きな谷間を抜け、トルファン盆地に吹き込む。この谷間に草木は育たず、よく列車が横転するほどに風は強く新疆の発電所となっていた。Googleマップの航空写真でこの不毛の地を拡大すれば10キロから20キロの斜面に田植えの苗のように整然と無数の回転翼の影が見える。

イラン高原とカスピ海にあるアルボルズ山脈に沿ってテへランから北西に走り、山脈北側にあるシェフィッドダム湖の斜面には風力発電の白い支柱に巨大な風車が整然と並んでいた。カスピ海に向かって港町バンダレ アンザリーに向かう九十九折の下り斜面の山肌は、瓦礫で茶褐色だ。

標高マイナス28メートルのカスピ海は南北およそ千キロ、幅200キロに及ぶ広大な北風の専用道だ。風はこの山裾の地に雨をもたらして古くから日本と同じ豊かな水田稲作地帯となり、不毛の山の谷間は近年風力発電地帯に化した。

ユーラシア大陸のファーイーストにある島、ヒイズルクニの里山・大森に戻って。

脱炭素。グリーン・インフラからカーボン・ニュートラルへ
地域(村)のエネルギーは村でつくる

第1期 大森町太陽熱発電・蓄電所を造る
1.東日本大震災からの教訓
2.再生可能エネルギーと再エネ発電賦課金
3.農地法、農振制度などの縛りから規制改革
4.「脱炭素時代」に荒廃農地を太陽光発電・蓄電所に
5.組織規模と設備投資のファイナンス(資金調達)そして課題
第2期 バイオマス(孟宗竹)発電と「温水」の活用
1.里山の荒廃竹林
2.燃料(竹)は大森から嶺北西部集落へ広げる
3.竹燃料の小型ボイラー発電と「風呂」併設地域=住民の融和
4.組織規模と設備投資のファイナンス(資金調達)そして課題

孟宗竹(バイオマス)ボイラー温水システム

洲本市(淡路島) 研修会のご案内

上段のビジョンにあるカーボン・ニュートラル(co2ゼロ)に向けて、北陸中山間地域に位置する大森・旧志津の地場特性を生かした近未来への事業として、先ずは関わりを持つために現場を研修=学び、種蒔きの可能性を探りましょう。(中略)            主催者 敬白

 

「これからが これまでを 決める」

(片岡一郎/里山管理人)