間 貞麿

先日、“鉄子”であるヨメさん孝行も兼ねて、JRの「フルムーン夫婦グリーンパス」を利用し九州新幹線や観光列車、在来線特急など、九州の鉄道を乗りまわってきた。

最初に乗車したのは特急<ソニック11号>。

車両は1995(平成7)年4月に登場した<ソニック>専用の883系で、速度を落とさずにカーブを走行できる振り子式を採用している。2005年からのリニューアルに際し、内装に手を加えたほか、外観はステンレス車体も含めメタリックのダークブルー一色に塗り替えられた。

乗車したのはクロハ882-3。運転台側半室がグリーン席、連結面側半室が普通席、間のデッキからグリーン室へは、

車イス対応の大きなトイレをぐるりと回る構造になっている。

グリーン席は運転台に向かって左側が1人掛け、右側が2人掛け、5列で定員15人。座席はグリーン車としてはやや小さめで、座席から飛び出た某遊園地のキャラクターの耳のようなヘッドレストが特徴的。シートはしっとりした825こげ茶っぽい黒革張りで、すわり心地は悪くはない。

ヘッドレストも、見かけはともかくホールド感は意外に良かった。しかし大分県に入りカーブが多くなると、振り子の作用で体が大きく左右に揺られた時、座席にもっとホールド感と左右の余裕がほしいと思った。

車内は明るいパールホワイトの天井や壁、渋い色調の市松のカーペットなど上品な雰囲気にリニューアルされたが、仕切りやドアに多用されたメタリック塗装やガラス、

そしてロボット的な質感の座席背面はそのままで、無機質で近未来的な感じが残るのは否めない。

883系グリーン車の特徴は、運転席直後に設けられたグリーン客専用の展望コーナー「パノラマキャビン」。円筒形のガラスのパーテーションで客席と仕切られ、円形の木製ベンチが設けられている。特急同士のすれ違いや、速度を落とさずカーブに突っ込んでいく時など、前面展望はかなりの迫力だ。乗り合わせたのが中年夫婦一組だけだったのをいいことに、ヨメがカメラ片手にほとんどの区間を独占していた。

折尾駅に進入する883系<ソニック11号>。頑丈そうなバンパーも、先頭部の無骨なイメージに一役買っている

シートの背面は機械のような無機質なイメージ。背面の収納式テーブルは手前に開くが、弁当を置くと遠すぎて食事には不向きだ

客席と運転台の間のスペースがパノラマキャビン。前方の展望が楽しめるだけでなく、運転士の運転操作や確認動作もばっちり見える

某ネズミーランドのキャラクターの耳のようなヘッドレストが目立つ。頭上は網棚ではなく、飛行機のようなハットラックになっている

間 貞麿