「御巣鷹の尾根」に墜落した日航機事故で一躍有名になった上野村は、群馬県の最西南端に位置する。周辺は1000~2000m級の山々に囲まれ、総面積の90%以上が険しい山野が占める典型的な山村の環境にある。国土交通省の水質調査で「関東一きれいな川」と認定され、ヤマメやイワナを狙う釣り人が多い神流川が村内を貫流し、その流域や支流沿い、山腹に小さな集落が散在する風景は、まことに美しい村といっていい。

岩肌にヤシオツツジ咲く春の笠丸山

実は、この村で筆者は中学生までの少年期を過ごした。いまの感性も価値観も、その多くはこの村に育てられた。村を離れてすでにほぼ半世紀の歳月が流れたが、わが故郷と呼べる地は、この上野村をおいてほかにない。というわけで、このサイトを借りて「上野村レポート」を連載することにしたい。

地蔵石仏が迎える尾根上の地蔵峠

飯出 敏夫